爽快なるかな!女性専用車両

田園都市線は最後尾車両が午前9時半まで女性専用であり、長年そのことは 身体に染み込んでいる。 ところが、東横線では5号車あたりにそれがあることを、数ヶ月前に夕方の通勤ラッシュ時に間違って5号車の列に並んだところを女性に厳しい表情で注意されたことで知っていた。実に厳しい言い様で不快なものだった。

今朝は、田園都市線から大井町線に乗り換え、自由が丘から東横線に乗り換える時に間違いを起こしてしまった。9時半を過ぎていたし、最後尾車両ではないから大丈夫だと身体感覚が教えてくれていたので何の躊躇もなく、5号車であることも意識しないで扉が閉まる間際の急行渋谷行きに乗り込んだ。11月04日午前9時45分頃の話である。

中目黒で日比谷線に乗り換え、恵比寿に行くためである。

乗り込んでから居住まいを正しホッとしたところで目の前の女性と目があった。特に非難がましい眼差しでもなく、最近よく感じる、いかにもニュートラルな感じでいて何事かを伝えている微妙なメッセージを含んだ眼差しである。しかし、なんとなくただならぬ感じがした。次いで強烈な脂粉と香水の香りが鼻をつき、本能的に危険を告げた。周囲を眺め回してみると、女・女のすし詰め状態。ついにやったか!と、臍を噛む思いがした。

右前の30歳台とおぼしき落ち着いた感じの女性に「これは女性専用車両なんですね」と話しかけた。「そうなんですよ、間違いやすいですよね」との返事に、なにか救われた気がした。パニックになりかねない状況が瞬時に柔らかくなった。
うっかり間違えてしまったことを、身振りと表情と語感で彼女と周囲の女性達に伝えて、なんとかその場の非難と排除の気を必死で散らした。

次の停車駅の学芸大学前でほうほうの態で降りて「申し訳なさ」を表現しようかと思案したが、自由が丘からの短い時間に周囲の許諾を得たこの車両に何故か居心地の良さを覚えてしまった。

学芸大学駅で降り難いほど混んでいたわけでもなかったが、この千載一遇の心地好さを大事(?!)にすることに素早く方針を転換し、例のこの場での最大の理解者である女性に「中目黒までお邪魔します」と許しを請うた。すると、「どうぞどうぞ」と笑顔で応じてくれた。

気のせいか、周りの固い表情だった女性たちも頷いているような気配だった。
それから中目黒までの旅は、大奥3000人後宮3000人の世界を夢想しながらの至福のひと時であった。まったく「お目出度い」奴だ。将軍か皇帝に己を擬しているのだから。

これも気のせいか、筆者の周りは好意的な女官達によって柔和なる包囲網が出来あがり、「この爺さんは私達が認めた人よ」と謂わんばかりに友好的であったと思ったのは、例によって筆者の大いなる勘違いであったのかもしれない。ワイフに話せば、「莫迦ね!彼女達の心のなかは『この馬鹿なボケ爺、気持ち悪いんだよ。早く飛び降りて消えてしまえ』と思っているわよ」と言うだろう。きっとそうなるだろう!

ところが、なかなかそうでもなさそうだったところに、主観的解釈の差があるようだ。
中目黒で降車する際、「お邪魔しました」と謝意を表したところ、例の「お局」ともいうべき救い主のような女性は大きく深い笑顔で見送ってくれ、他の女性たちはソフトな身振りで道を空けてくれたような・・気がする。おかげで、鳴りを潜めていた男性ホルモンの分泌が旺盛になったのか、なんとなく身体が軽く感じられ、足取りも軽やかになったのが我ながらいじらしい。

剣呑な表情とつんけんした立ち居振る舞いの若い女性が多くなったことに批判的であり、適齢期の若い男性の心痛たるやいかばかりかと案じる文章を方々に書いた筆者としては、少々認識を新たにしなければならないと思った。いまの若い女性たちの器量も捨てたものではないと認識を改めねばなるまい。

女性車両にはかねて一言批判的な意見を持っていたが、そんな狭量な思いは雲散霧消してしまった。どころか、世の中から「不愉快なもの」がひとつ無くなった爽快感さえ味わった気がする。

これからは、若い女性たちの少々の無礼は大目にみる度量を示さねばなるまい。そのような女性たちも、状況においては礼儀正しくて優しい、良い意味での「大和ナデシコ」の気質は十分に発揮されることを知ったからだ。

大仰な反応かもしれないが、普段、「近頃の若い女性たち」に批判的な立ち位置にある筆者としては、偶然とはいえ、思わぬ経験が、頑ななものの見方を反省させてくれたようだ。

帰路の電車の中での、高齢女性たちの傍若無人さが殊更気になった。人から、「詰めて戴けませんか?」と促されるまで、平然と傍らに荷物を置き、4人分のスペースを二人で占領する厚顔にして無知無恥した60歳代と思しき女性たちだった。

追記: 今日、仙石「菅忘長官」という表現を「日刊ゲンダイ」で知った。「仙菅ヤマト」などの表現を見るが、この「仙石・菅忘長官」は実に穿った的確な言葉である。金賞!
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.04 2010 未分類 comment1 trackback0

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sae
初めまして。

ご存じかと思いますが、
「女性“専用”車両」は、乗客の任意の協力で成り立っているものですので、
年齢、性別、障害の有無等や、曜日・時間帯にも一切関係なく、
一般男性でも、どなたでも乗車できますよ・・。

今の日本の憲法・法律の下では、同じ運賃を払っている乗客を
性別だけで排除することはできないのです。
2010.11.05 00:10

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Author:須藤文弘




歯科医師(1942年2月生まれ)
医事評論家
歯科医療コンサルタント
NPO法人日本歯科保健機構 理事長
東京医科歯科大学 昭和43年卒

 

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